今回は、SQが主題である。聞いた事の無い人も居るかもしれないが、平たく言えばEQと対をなす逆の概念である。
SQとは何か?
SQとは元々、心理学者のダナー・ゾーハーとイアン・マーシャルによって提唱された概念だが、改変して定義し直すと、
「自分と他人の感情や情動を、創造し、拡張し、その変容から自分の思考や行動を導く能力」
となる。
SQを構成する5つの要素
SQの概念をEQと鏡合わせになるように定義し直すと、以下のようになる。一種のパズルだと思って気楽に見てもらいたい。
自己変革…自分の気持ち・好き嫌い・向き不向き・直感を刷新する事
自己変革はSQの基礎をなす能力である。目標とする情動を明瞭に理解し、正確にその情動に没入し、結果として物事の感じ方を変える事が出来る。
自己励起…自分の衝動を創造し、行動に自由を与え、環境に変化を齎す事
自己統制も同じくSQの基礎をなす能力である。強烈な意識を自分の情動に向ける事で、衝動的に行動する場合と同じ程度の生理的変化が期待出来る。卑近な例では、やりたくない事で、何かやらなければならない事がある時などに使える。
自己保存…適切な手段のみに自分に制約をかける事
自己保存も同じくSQの基礎をなす能力である。どんな事でも、手段を選ばなければ割と簡単に達成出来る事があるが、人格の一貫性が損なわれる恐れがあり、長い目で見ると最終的に遠回りになってしまう事がある。
肯定能力…他者の気持ち・衝動を強化する事
肯定能力も同じく他者の存在を前提としたSQの応用面となる。自己変革の能力を応用して、他者が抱いている希望を具体的な行動を取らずに上手く肯定してあげる事が、無用な挫折による損失を防ぐ上では有効である。
世間的技能…他者の反応を上手く封じ込める事
世間的技能も同じく他者の存在を前提としたSQの応用面となる。実社会で生きていく上で、自然に身に付く経験知としての対人関係のテクニックはこの能力に分類される。
SQを向上させる方法
心理的技術としてのSQ
SQは生まれつきの才能ではなく、学習によって向上させられる能力であると考えられる。
与えられた組織で与えられた役割をこなし続ける事で様になっていくのが普通である。
生理的技術としてのSQ
一方で、SQはマインドフルネス瞑想によって向上させる事も出来る。
思索・謎のように深く考える必要がある知的活動によっても鍛えられる。
簡単に出来るマインドフルネス瞑想の一つに実存に注意を集中する方法があり、今回取り上げたSQ向上の各論の基礎となっている。
まとめ
どんな体質の人でも、EQかSQかのどちらかには適性があるので自分に合った方を選ぶと無駄なく結果を出す事が出来るだろう。
※元々のSQの概念とは似ても似つかなくなってしまったが、提唱者の提示するSQは、EQが高度に発達した人の意識状態を説明していると捉えると、分かりやすい。