今回の主題は、儀式化と行動化である。心理学の専門用語だが、とても為になる概念なので紹介する。
儀式化とは何か?
儀式化の定義
儀式化とは、イメージ療法の過程で得られた洞察を、「意識的に行う一連の象徴的手続き」として表現する事である。自身の内的過程を反映させる目的で行われる点で、宗教や神秘などの形骸化しがちな儀式とは異なる。
儀式化の意味
現実にある物を使って行うイメージ療法は、それ自体が儀式であると考える事が出来る。一方で、頭の中で連想を膨らませて意味や物語を豊かにする作業は、記録する事によって定着させる必要がある。結果として、イメージ能力そのものが増強される。
行動化とは何か?
行動化の定義
行動化とは、個人が心の内面において解決すべき葛藤や不安が、暴力や非行などの外的活動として発散される事を言う。イメージ療法の過程で治療の枠組みを逸脱したイレギュラーが起きた時は、このような危険がある。
行動化の意味
イメージ療法には守りの枠という概念がある。治療をすっぽかしたり途中で止めたりなど、過程自体が成立していない場合は勿論だが、一定の基準を満たさない場合も、行動化のリスクがある。得てして、イメージ能力の不足が原因である。
儀式化と行動化の区別
儀式化と行動化の共通点
儀式化の様式も行動化の様式も千差万別で、余人にとっては理解出来ない場合が多い。全く同じ事をしているように見えても、本人にとってどのような意味合いを持つかで、儀式化と見るか行動化と見るか変わる事も有り得る。
儀式化と行動化の相違点
儀式化は内面の過程の洞察を積極的に反映させる行為であるので、自己コントロールが効いている状態になる。一方で、行動化は否定的な情動の発散である為、自己コントロールが失われた結果であると言える。
まとめ
儀式化と行動化は紙一重の側面もあるが、上手く活用出来れば大きな治療効果を発揮出来る。豊かなイメージ能力は、他者の気持ちを慮る為の土台であり、記憶力や創造性の向上も期待出来る。