①エイジェンシー
インテグラル理論入門Ⅱp.41−44
全体としてのホロンの特性は、自己であり続けるということにあります。ホロンは、自己独自の全体性や自律性を保存するため、自己の独自性を保とうとします。時間を超えてアイデンティティを保とうとするのです。[以下略]
②コミュニオン
部分としてのホロンの特性は、まわりに適応しなければならないということです。ホロンは単に自己を保存する全体として機能するばかりではありません。それは同時により大きな全体に対する部分であり、部分であるからには自己を他のホロンに順応ないし適応させなければなりません。同化ではなく適応であり、自己創出でなく、異質創出です。全体/部分であるホロンの部分性は、他のホロンの存在を理解し、その存在している環境に適応する力です。[以下略]
③エロス
酸素原子1個と水素原子2個が適切な環境で結びつくと、新たに水分子という今までにないホロンが創出されます。異なったホロンが結合して、創造的な力の働きにより、今までになかった新たな特性を持ったホロンが創り出されるのです。これは、ホワイトヘッドが創造性と呼び、ヤングが自己超越と呼んでいるものであり、自己を変容させる力を意味しています。この新たなホロンは新たなエイジェンシーとコミュニオンを持っています。この自己超越の特性によって、質的な変化がもたらされるのであり、継続的な進化の原動力となっています。[以下略]
④タナトス
エイジェンシーとコミュニオンのバランスの維持や適応ができなくなり、同一性のパターンが破壊されるとき、ホロンが消去され、下位のホロンに分解していきます。細胞は分子に、分子は原子に、原子は素粒子に分解し、消えていくのです。[以下略]
ホロン解説の図を見ていてエイジェンシーとコミュニオンの違いについて考えていたんだが、具体的な分野の対立軸の代表を三対考案して三次元にしてみた。
まず、ホロンは「部分/全体」の構成単位で、学問的に見れば部分に対応するのは粗大還元主義で、全体に対応するのは微細還元主義。
粗大還元主義ってのは原子とか分子とかの小さい部分の挙動に着目して、それに従属する形で全体の世界を捉える考え方。平たく言えば、一人一人が変われば集団も変わるとする見方。
微細還元主義ってのは人体とか宇宙とかの大きな全体の挙動に着目して、それに従属する形で部分の世界を捉える考え方。平たく言えば、集団が変われば一人一人も変わるとする見方。
金融をX軸の正、物流をY軸の正、社会をZ軸の正に取り、微細還元主義に対応させる。経済をX軸の負、政治をY軸の負、家庭をZ軸の負に取り、粗大還元主義に対応させる。
そして、極座標のように捉えて、2つの偏角をホロンの「幅」、動径をホロンの「深度」、として考える。動径零の原点が芸能で、動径無限大の発散した場合が宗教に、対応させる。
従って、原点がトランスレーションの極致でタナトス、無限大がトランスフォーメーションの極致でエロスあると考える事が出来る。原点は一つだが、X軸、Y軸、Z軸のそれぞれの零点が適切な位置で偶然一致しているだけなので、厳密には4つの側面があると言える。
社会↔家庭、物流↔政治、金融↔経済の構図はのうち、ピンと来ない物もあるかもしれない。突き詰めれば、単純に正の方向がエイジェンシーで負の方向がコミュニオンという扱いではある。
教育基本法を参照すると、ちょっと含意が違う部分もあるが、宗教教育、政治教育、社会教育、家庭教育までは、人間として成熟する為に欠かせない教育の一部であると明確に定義されている。即ち、対立軸の候補の選別基準は法律であり、足りない物を穴埋めした形になる。
それぞれの項目について詳細に議論すればもっと面白いのかもしれないが、とりあえず大枠について検討して納得してもらいたい。それぞれの分野での相互作用の在り方を、単純化した図式として表現出来ないか模索しているところである。
とりあえずは、科学的なコミュニケーションを心掛ける為に教養を身に着ける事は前提とした上で、ホロン座標系を成す10の側面について軽く気を配っているだけでも、大分生き易さが変わってくるのではないか。