知恵ある統治者は、その民を教育し
シラ書10.1ー5
分別ある人の政治は、秩序あるものとなる。
民に仕える役人も、民の統治者に倣い
町の住民は皆、その首長に倣う。
無教養な王は、その民を滅ぼし
町は、役人たちの分別によって住みよいものとなる。
この世の主権は、主の御手の内にあり
主はふさわしい時に、役に立つ者を起こされる。
人の成功は、主の御手の内にあり
立法者に栄誉を授けるのも主である。
さて、この辺でインテグラル理論の復習でもする事にしよう。かの理論の要となる考え方はAQALであり、日本語で書くと全象限・全段階となる。意識論としては更にステート、ライン、タイプの3つが加わって全部で5つの要素がある事になる。
全象限というのは、単数・複数と主体・客体の2つの軸によって認識の仕方を区別して4種類に世界を分けるものであり、主体・単数は「美」の領域、主体・複数は「善」の領域、客体は「真」の領域とプラトンの古典的な分類に対応する事になる。
全段階というのは、世界観の発達過程で呪術的段階、利己的段階、神話的段階、合理的段階、相対的段階、統合的段階の6種類が基本として考えられる。この概念は専ら発達心理学からの借用であるが、学術横断的な解釈は微妙に違ったものになる。
全象限の考え方の新しい点は、従来の自然科学が前提とする唯物的物心二元論などの各種の二元論に対して、統合的四元論を打ち出しているところである。物と心を区別するだけでは足りず、持ちうる視点が単数か複数かでも区別を行うわけである。
全段階の考え方の新しい点は、現在の学問の最先端である相対的段階に対して更に一歩進んで統合的段階を定義しているところである。相対的段階では合理的段階の前提に批判を加える形で議論が進むが、この段階は相対的段階を論破の対象とする。
私の意見としてはこれらの考え方は勿論素晴らしいのだが、前提として学歴による縦割り権限分配説を前提/到達点として知っておけば現実の理論として活用できる可能性を感じてもらえる事だろう。自分の教育歴が何が提供可能かを教えてくれる。
例えば、自然科学者なら自然を操作可能で、応用科学者なら人為を操作可能な事になる。私自身は学位を持っていないので確かめる機会は無かったが、この学歴による権限分配は超能力の公平な管理を目指す上で理想的な平衡状態であるとも言える。
スピリチュアルの世界にまで勉強の話を持ち込まれるのは嫌な人が多いのかもしれない。だが、本当に超能力の世界に足を踏み入れたいのなら避けては通れない問題だ。なぜ現代科学の学説が、普遍的でかつ継承可能なのか、疑問を持つべきである。